日曜日, 2月 17, 2013

加川良@浅香 たたみや

加川良のアウト・オブ・マインドを聴いてライブを観てみたくなり、堺市北区東浅香山町の居酒屋「浅香」まで出かけた。客層は、ほぼ全員が常連であり年齢は60歳前後。初めて訪れる場所であるということもあり、完全にアウェイでぼっちであったが、飲み食いしているうちに打ちとけた。

ステージの加川良はしゃべりが上手かった。馴染みの客からは頻繁に「良さん!」の声がとぶ。終始リラックスしたムードで、しゃべりの間に歌を歌うという感じ。その歌唱は、松山千春が影響を受けたと言っていたのがわかる気がした。語尾のひっぱりかたが少し似ている。加川自身は松山の音楽をよく知らないらしい。

終演後、アウト・オブ・マインドにサインをしてもらった後に「加川さんにとって「教訓」は異色作なんですか?」と聞くと、少しの沈黙のあと、「いや、いつもそのときにやりたい音楽をやっているだけなんだよ」と、さっきまでのふざけた調子とは打って変わって真剣に答えてくださり、過去を否定するでもなく懐かしむでもないその態度には胸を打つものがあった。もう1枚もってきていた「南行きハイウェイ」にもサインをしてもらっている間、ウィリー・ミッチェルの名前を出したときには、すぐに2010年に亡くなったと返事があった。加川良とハイサウンド。その必然性についてはよくわからないが、この隠れた珍盤についてもきっとそのときやりたい音楽だったのだろう。思いがけない盛り上がりのあと、握手をして別れた。